埼玉県某所のすき家で事件は起こった
「すき家の牛丼食べたい!」
娘たちはここ最近、休日になるとだいたいこれだ。
すき家がクレヨンしんちゃんのスポンサーになっていて、あのキャッチ―のフレーズ「すき家の牛丼♪」を覚えてしまった娘たちの猛攻にあっている。
すき家の牛丼なんか食べるよりもっと良いお肉を食べようよ、と言いたいところだが、予算的にもメリットがあって、サクッと食べることができるファストフードはそれなりに便利だからついつい行ってしまう。
その意味で我が家は完全にすき家の術中にはまっていると言ってもいいだろう。
お父さんは平日も時間がない時はだいたいすき家だよ、やめておこうよ、とはならないのが親心というものかどうかは知りませんが、娘たちのリクエストに答えるかたちで昨日訪れた埼玉県某所のすき家で前代未聞の事件が勃発したのです。
荒れた店内
昼時ということもあり、店内は万席状態。たまたま空いていた奥の席に座るも床は水浸し。
おそらくは前の客がこぼしたお水を清掃できていないのだろう、一つ前の席に座る家族連れのテーブルには前の客の食器がそのまま残してあるし。
このあと勃発する前代未聞の事態を考えると、この時点で退散するべきだったのかもしれない。
機能停止
メニューも決まり、呼び出しボタンを押す。1回、2回、3回・・。4回目を押しても誰もこない。更に5回、6回と押し続けたころでいい加減我慢も限界に達した。
「すいません!注文いいですか!というか水も出てきてないよ!」
僕の呼びかけに反応したのかどうかはわかりませんが、ようやく「すいません、お待たせしました」と出てきたのは無愛想な大学生風情の青年。
人通り注文したあとに大学生風情に再度水を催促。
水を運んできたのは不機嫌な外人の店員。
だけど運ばれてきたのはお水ではなく麦茶・・。
ふと厨房を覗くと店内から回収された水さしは全て空っぽだった。
水の準備も追いついていない。というか、店員さんが厨房に1人しかいない。カウンターはさきほどの無愛想な大学生と不機嫌な外人の2人だけ。
店内にはざっと30人くらいの客がいて、埼玉県某所のすき家は完全に店としての機能を失っていた。
カレーが食べたいのに・・
おなかすいたねぇ~、カレーまだかなぁ~
子どもたちは純粋にカレーが食べたいだけなのに、20分も待たされることになろうとは。しかも、先にでてきたのは僕と妻の分。少しでも気の使えるお店であれば、間違いなく子どもの分からだしてくるだろうに。それをすき家に期待しても無駄か。。
そして、ようやく運び出されてきたお子様カレーセットには、なんとスプーンではなくフォークがセットされていたのだ。
いやいやいや、さすがにこれはないよね、きつい冗談ですよね、とさきほどの不機嫌な外人さんに問いただしてみた。
「これフォークですよ。間違えていると思うのでスプーンにもってきてくれませんか?」
かなり丁寧だ。いや、超絶丁寧だ。ここまでの展開を考えると本当ならブチ切れてもいいところだが、遠い異国で大変なこともあるだろう、と無駄に親身になったりしてしまったのが次にでてきた一言を聞いた瞬間に完全な間違いだったことを思い知らされることになる。
「スプーンは全部洗ってしまってないんです。フォークでお食べください。」
!?
今何て言った?カレーをフォークで食えと言ったのか!?その口がフォークで食えと言ったのか!?
スプーンが洗っていないことは百歩譲って許せたとしても、フォークで食えはさすがになしだろ!
冗談、なんだろ・・?しかも何故か半笑いだったし・・。
この衝撃的な展開にさすがに言葉が見つからなかった。何を言ってよいかわからず、次の行動を模索するのにしばし放心した。
そもそもだ。カレーをフォークで食べることなど大人でも無理だ。それを理解していないのか。いや、待てよ。彼女はもしかしたらインド人なのかもしれない。だから最悪は手で食べればいいじゃん、という感覚なのか。最低限そうであってほしいと願った。そうでなければ僕の怒りはやり場を失ってしまうではないか。。
そして次の瞬間僕は厨房に入りこんで大きな声でこう言った。
「スプーンをふたつ持ってこい!」
さすがに厨房のおっさんはビビったようで、スプーンはすぐに出てきたんだけど、お子様用のそれではなく、大人のスプーンでもない、大きなプラスティックのスプーンだった。。
日本の未来の縮図はすき家にあるのかもしれない
子どもたちはすき家のカレーライスを食べることができてご満悦のご様子。帰りの車中、10分もしない間に眠りに入ってしまった。
僕は静まりかえった車内で思った。
これはきっと未来の日本が抱える人材不足問題の氷山の一角なんだと。
昨日訪れた埼玉某所のすき家は、ただただ単純にバイトが欠員しただけなのかもしれない。しかし、日本の将来は人材不足にあえぐことは必至だし、この手のファストフードやコンビニ、ショップ店員などは機械化されるか国際化されるか二択を迫られることになるのだろう。
僕は日本の未来を、カレーライスをフォークで食えと言ってのけた外国人に垣間見たのであった。そして最後まで外しまくった埼玉県某所のすき家に僕は称賛を贈りたい。
こんなにもネタを提供してくれたんだから。